症例紹介『異所性睫毛』
まぶたの内側(結膜側)から生えてくる異常なまつ毛のことです。本来、まつ毛はまぶたの縁から外向きに生えますが、異所性睫毛では角膜や結膜に直接触れる位置から毛が生えるため、強い刺激を引き起こします。
主に犬でみられ、若齢から症状が出ることが多いとされています。代表的な症状は、涙が多い、まぶしそうに目を細める、頻繁に目をこする、結膜充血などです。毛が角膜に当たり続けることで角膜潰瘍を起こすこともあり、注意が必要です。診断には眼科検査を行い、まぶたの裏側を確認することが必要となります。治療は基本的に外科的に毛根ごと除去する処置が推奨されます。単純に毛を抜くだけでは再発することが多いためです。早期に適切な治療を行うことで、角膜のダメージを防ぎ、症状の改善が期待できます。
<症例プロフィール>
ペキニーズ、9歳5ヶ月、メス
<主訴・問題点>
今日から右眼がしょぼつく
<検査結果>
受診日①
相談の結果、一時的の状態を疑い、試験的にヒアルロン酸点眼を開始し経過をみた
受診日②(発症3日後)
症状が続くので、眼科検査を実施した
眼科検査内容
・スリットランプ検査
・眼圧検査
・角膜検査(フローレス検査)
その結果、角膜に傷(角膜潰瘍)があることがわかり、ヒアルロン酸と抗菌薬を1日3回点眼して経過をみた

受診日③(発症8日後)
まだ症状が続くので、再度眼科検査を実施した
眼科検査内容
・スリットランプ検査
・角膜検査(フローレス検査)
・涙液量検査(シルマー検査)
その結果、ドライアイは否定的であり、角膜潰瘍の原因に右上眼瞼結膜にある異所性睫毛が関与している可能性があることがわかったため、外科的治療を含めて相談し、治療の強化(ムコスタ点眼の追加)を実施した

受診日④(発症後15日後)
症状の改善がないため、外科的治療を実施した
<手術方法>
手術内容は以下の通りです。
・2mmトレパンにより毛根ごと切除した

<経過>
受診日⑤(発症後21日後)
症状もなくなり、角膜潰瘍も治癒していた

受診日⑥(発症後2ヶ月半後)
手術後2ヶ月経過したが症状の再発もなく、良好に経過していた
<まとめ>
眼の症状は日常的に遭遇することが多いものの一つですが、しっかり検査しないと原因がわからないことがあります。緊急性がある病気もあるため、様子を見るのにも注意が必要です。
お気軽にご相談ください。
2026年03月15日 16:01





